Perfect Days

昨夜は役所広司主演の映画Perfect daysを見た。字幕を読む人にも易しい、口数の少ない映画だった。東京の公共トイレの掃除をする男性の話で、口数の少ないその男性の生活は至ってシンプル。毎日同じ時間に起きて仕事へ行き、同じ銭湯へ通い、おそらくほぼ同じ場所で同じ食事をし、読書をして寝る。休日の過ごし方も決まっているようだった。彼とは対照的な口数の多い同僚の恋愛に振り回されたり、姪が家出をして来たりと、この男性の淡々と繰り替えされる生活に小さな波紋はあれど、特にドラマティックな事件はない。主演の口数の少なさと同様、彼のバックグランドなどの説明もほとんどなく、おそらく彼は裕福な家で育ったのだろうと想像できるこの男性がなぜこのような生活を送っているかも不明なまま。父親と会いたくない何かがあったのだろうということくらいで、映画を観る人に想像と好奇心を与える。彼は繰り返される平凡な生活の中に入り込む陰影も迷惑がらずに受け入れている、朝ドアを開けて外へ出た時の穏やかで満ち足りた表情が印象的な映画だった。

こんな風に生きられたらな、と思う映画。

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