目に見えない力

ご先祖様が守ってくれてるとか、守護霊が、とか昔よくそんな話をした。本当かどうか、見えたことも、感じたこともない事なので分からない事だけど、彼を、彼のお父さんを見ていると、きっと守られている、何かある、と思うことが時々ある。

彼のお父さんはもう90を過ぎて、まだ自動車を運転しているようだけど、気持ちが若いと見えて自分の意に沿わない自動車が前方にいると、いやー危ない、と思う追い越しをしたりする。そんなマナーの悪い運転をしているにもかかわらず事故しないし、銃のあるアメリカでは変な人に当たれば追いかけられて撃たれるかもしれない。如何に失礼な運転の自動車にあっても、そんな理由でクラクションを鳴らすのはタブーだと思っている。

先日は彼のスマホが見当たらなかった。仕事から家に戻って、昼寝の後に出かける時に気がついて、おそらく最後の調律をした家に忘れて来たんだろうと電話をしたけれど「ない」と言われた。もっとよく見てくれて、なんて言えないのでスマホがないまま夜を明かし、翌朝「鍵を取り出す時に自動車の上にでも置いてそのまま走ってしまったか?」と道中を一往復したけれど落ちてはいなかった。この予想は、以前彼のスケジュールブックをそうやって道に落とした事があるけれど、親切な人が拾って連絡をしてくれて戻ってきた。このスケジュールブックがないと顧客との約束はもちろん、確定申告の時の走行距離の算出など、恐ろしいくらいに困る。で、同じ事をしたんでないかと想像して確認してみたのだ。無いのに気がついた時は電話をすると呼び出し音が鳴ったのに当日夜にはもう直接留守電サービスに切り替わったから、電源が落ちたのだな、と絶望的な気持ちになった。電源が落ちてしまってはアップルの位置情報サービスも使えないし、どこかに落ちていても人に気づいてもらえる手立てもない。これも、運よく翌日は調律のスケジュールがなく、メガネを受け取りに行く予定だった場所には携帯電話会社のオフィスもあるので、写真データは諦める事になるけど、電話はすぐに持てると思っていた。最後の最後にもう一回顧客に電話してピアノの中を確かめてみたい、と話して出かけた。

すると、ピアノの中どころか上に置いてあったらしい。携帯ケースがピアノと同色だったので、あると思ってみなかったら「見えない」というほどよく馴染んでいたそうだ。以前、黒いカバーが黒いピアノに乗せると見えにくくて忘れる、という理由で今回は赤っぽい色にしたのだけれど、そんな色のピアノもあるわけで、次は何かステッカーを貼ろうと思っているらしい。

ま、こうして大事なスマホは戻ってきた。

いつもモノ探しをしているけれど、本当に無くなるということは稀で、大事なものはちゃんと戻ってくる。何かに守られている感じがヒシヒシとする。ありがたい事です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です