ピアノキャンプ

週の半ばには1週間も体力が保つか?と思う長い1日が数日続いたのだけれど、最後の1日になると竜宮城の話の如く、あっという間の8日間が終わるところでキャンプを離れがたい気分になったのは皆同じ様子だった。隣の州、隣町の大人向けピアノキャンプでリピーターが多い、という話に評判の良さはよく知っているところだった。

私が今回受けたのは10日間コースのキャンプ、初日は夕方に到着、夕食が用意され、その後にオリエンテーション。最終日は朝食を取ってから帰る人、早朝フライトなどで起きてすぐ出る人、前夜に帰る人もいた。金曜日午後にスタートしたキャンプは日曜の午前にお開きになる。レッスンなどの行事のあるのは正味8日間。この8日間に4回のプライベートレッスン、連弾などのアンサンブルを希望すればそこで誰かと組ませてもらって何某かをする、6台のピアノが詰め込まれた部屋で大人数によるピアノ連弾、モンスターというアンサンブルをし、講師演奏がふた晩、オンラインでも見せている公開レッスンが3晩、連弾コンサート、ゲームナイト、と毎晩催しが用意されている。土曜には午後2時からモンスターアンサンブルに続いてそれぞれのソロを発表し夕食までの時間を歓談、夕食後には1時間くらいの短いビデオ、昨夜はラフマニノフの話を見て就寝。ただこれらの全ては強制ではなくて「やりたい人」という事になっている。自分のやりたい物にサインアップして参加する。自由時間には観光や買い物に行くのも自由。

私は家から近いので毎日通う事にした。朝は起きてすぐに出かけ朝ご飯からいただいた。シンプルなオートミールやグラノーラ、フルーツといったものだけど、なんというか、人が用意してくれた食事は格別。そしてその日のカリキュラムに合わせて空き時間には練習。帰宅はいつも夜9時を回る感じで、これが3日くらい続くと朝がだんだん起きられなくなって、最後2日くらいは起きて出かけるだけの事がとっても大変だった。食事は3食、バッフェ形式で用意されていて、決められた時間内で自由に食べてヨシ。食事の質が良いのも評判で、それも納得。見栄え、味、全て◎。申し込むときに食事アレルギーや宗教的な理由で食べられない物などを書き込む欄がある。それを踏まえて献立を作るのだと思う。そして無駄のないように食材を使いまわしたり、なかなか大変なお仕事だと思う。兎に角美味しかった。

このキャンプは私も含めて参加者が13人、ドイツ語訛りの女性、ブラジル語訛りの女性、日本語訛りも含め、ボストンエリアから数人、西海岸から数人、比較的近いニューヨーク州、コネチカット州などからの参加者で、今回が初めてという人は私も含めて数人。年に数回来ている人もいれば、ずいぶん長いこと来なかったけど、などリピーターにも色々。初めての参加者でも「親が来ていた」と2世代目の人も。このキャンプは3245ドル。これを高いと見るか、安いと見るかは色々だと思う。そもそも、こんな所に年数回参加するなんて、それだけでも所得格差を感じるし、みなさん裕福なのだと思った。私のピアノは自分の為だけのもので、あんまり練習しないし、1週間に3000ドル払って出かけるのは勿体無いと思っていた。それに体験型の旅行というのには近すぎる。

今回参加したのは、このキャンプは参加人数が少なく、私に声がかかった時には参加者が11人なので私が入ると偶数になってちょうど良い、という話だった。費用もフルでなくて良い、寄付で良いと言うような始まりで、キャンプを体験してから金額を決めて良い、と言われたら・・・彼の職場でもあるし・・・彼はジョーダンで、僕今無職だし、じゃ50セント、と言ってキャンプのオーナーを苦笑いさせたけど、全額支払う心づもりではあった。我が家にとっては突然の高額出費だけれども、出かけてみてリピーターが多い事に納得したし、この出費を無駄だとは思えない時間を過ごせたと思う。でも他の皆さんのように、次を簡単に予約したり、また来年も同じ月に会おうよ、今度はこれを連弾しようと言う話には、気持ちは大いにあるけど・・・いやーまた来られるかなぁ、と言う方が現実的。いやいや、皆さん、どんだけ裕福なんじゃ。

13人もいるとなかなか名前が覚えられなくて、ネームタグは用意されてたけど翌日朝にはすでに付けていない人も多く、ようやく名前を覚えたらキャンプは終わりだった。中にはあまり話をしなかった人もいて、その女性はどっからどう見てもピアノ初心者でピアノを弾いている様子もほとんどなかった。講義中には常にかぎ針で編み物をしていて、最後のコンサートを聴きに来た彼が話をしたところ、このキャンプには20回も参加しているらしい。彼が「聞き間違えでなかったら・・・」というくらいの初心者ぶりに、ま、ピアノを弾きたい人はもちろん、社交的なイベントを楽しむという意味合いで来る人も多いのだといっていた。ただ大人のキャンプは面白い。ピアノに向かう志も意識も皆それぞれで、音楽大学の学生さんみたいな音で弾く人はまず居なかった。でもそれぞれに良い音を出していたし、技術の向上なくして表現をするというのは難しいわけだけど、それぞれのできる事の中で音楽を楽しむという共通点は余す所なく感じられた。最後の発表会では緊張のあまり手が震えている人もいたし、楽譜があっても途中から弾こうとすると音がわからなくて完全にパニックでは・・と思うところもあったけど、講師は手出しせずに待つ、そして大人な私たちは兎に角自分のやるべき事をする。発表の順番は伝えられておらず名前を呼ばれたら弾く事になっている。待っている間に緊張が高まってくるのを感じ、手には冷や汗。上手に弾こうと思うな、止まらなかったら⭕️、と思ってもなんというか・・・非常に変な緊張感があった。今回は公開レッスンでチャイコの四季から5月、発表会では3月と4月を弾いた。4月は先日のコンサートで弾いたので、同じくらいには弾けるかな、と思ったのだけれど緊張の度合いが違ったので今回はどんなふうに弾けたのか、あまりよく覚えていない。ただ前回の反省もいかせておらず、数回繰り返されるフレーズをどう弾くか、成り行き任せでは弾けないとわかっているのに、今回もしっかりプランが立てられず、つまり練習ができずに発表会になってしまい、あーん何の思惑もない、単なるミスタッチの多いフレーズで終わってしまった。ミスタッチもバラエティの少ない、いつも弾けないところという、練習の仕方の悪さ故な感じ。頭が悪いと一言でいってしまえばそれまでだけど、勉強だってやり方を知らなかったら勉強もできないし、ピアノの練習も効率よく練習できるやり方を知らないと時間ばかりかかって実入が少ないという事は少し理解している。ただ、生活習慣病と一緒じゃないかな、これを直すってとても大変なこと。

キャンプ後半には私の部屋はないのでソファーで昼寝をしたりしていたのだけれど、常にどこからか聞こえるピアノの音が楽しかった学生生活を思い起こさせ、なんというか良い思い出に包まれてお昼寝。ソファーのあるリビングでレッスンがあった時には「はっ」と目が覚めると「あ、起きた」と講師待っていた。この講師は目が見えないので目が必要な部分、「生徒が来ないけど・・」というような時にはキャンプスタッフがサポートしている。夢見心地に「・・・寝てる」という言葉を聞いたような気がして目が覚めた。疲れ切った3日目くらいだった。起こしてくれないのか?と思った。

1週間に4回もレッスンって・・と思ったけど、私は二人、中には3人くらいの講師にあたる人もいるんでないかと思う。いろんな曲を持っていっても良いし、同じ曲を複数の講師に見てもらうのも良しで、何をするかもそれぞれ。講師が違うとあの先生は「遅く」といったけどこっちの先生は「速く」というし、なんて話もあった。ただその状況はわからないので遅いのが良いか、速いのが良いかという事はわからないけど、変化が欲しいのだろうとは想像できる。遅くと言われて遅くしすぎた故に次の先生では「速く」ということもあるかも。受験生なら「迷いの種」は時間の無駄になるかもしれないけど、今回同じ曲を二人の講師に聴いてもらって、違うアプローチでレッスンを受けるのも面白かった。ただレッスン後におさらいをしようとすると驚くくらい何も覚えていない事にも驚きました。えーーーーっと。。。。

この週は雨続き、寒さ続きの5月だったけど、何と贅沢な時間を過ごしたか。。。改めて、私は親から2年間のピアノキャンプを与えられたのか、と感謝。今回の10日間も素晴らしいキャンプの機会をくれて、彼は家でひとり、もしかしたらのびのびと?過ごしてた彼にも感謝。週半ばに一度洗濯はしたのだけれど、今日も洗濯の山。そして掃除と来週に迫ったクラフトショーの準備に取り掛かる。間に合うかなぁ。

https://www.sonatina.com/video-search

このリンクでTomiと入れてくれれば私の後悔レッスン、公開レッスンが、作曲家の名前を入れればその作曲家の録画でてきます。練習するときに参考になる動画もあると思います。

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